別館展示室(2)

自動巻き時計

Automatic mechanical watches

そこには無限のエネルギーが

 機械式時計の動力源は,ゼンマイである。ゼンマイは,それがほどけるときに,力を発生する。ゼンマイに力を発生させるには,ゼンマイを巻き上げてやらねばならない。
 小さな腕時計に使われるゼンマイも,また,それに応じて小さいものである。いっぱいに巻き上げておいても,1日か2日くらいで,ほどけきってしまう。そこで,機械式腕時計を使うときには,ほぼ毎朝,ゼンマイを巻き上げることになる。
 そのわずらわしさを解消するのが,自動巻きとよばれる機構である。
 自動巻きの腕時計には,回転するおもりが内蔵されている。腕時計を身につけた状態で歩いたり,作業をしたりして,腕を動かすことがあると,内蔵されたおもりが回転し,ゼンマイを少しずつ巻き上げてくれる。無意識のうちに,つねにゼンマイを巻き上げられるというものである。実際には人間の腕が時計に力を与えているのだが,それが無意識のうちにおこなわれることから,時計から無限のエネルギーが生み出されているようにも感じられることだろう。
 自動巻きは,機械式腕時計の機構として,完成に達したということができる。ただし,回転するおもりのため,どうしても時計が厚く,重くなるのは,しかたのないことか。


セイコー (SEIKO)

 セイコーは,国産初の腕時計(1913年)を製造したメーカーとしてよく知られている。その後も,国産初の自動巻腕時計(1956年)を発売したり,1964年の東京オリンピックの公式計時を担当したりするなど,日本を代表する時計メーカーといってもいい存在になった。さらに,1969年には世界初のクォーツ式腕時計を発売するなど,日本のみならず,世界に与えてきた影響も大きい。

セイコー

スポーツマチック5 デラックス 7619-7010

 3針式,ステンレスケース,25石の自動巻き時計である。
 時刻合わせのための竜頭のほかに,日付を進めるための押しボタンがある。また,裏蓋には防水対策をアピールする「イルカマーク」がある。

SEIKO Sportsmatic 5 Deluxe 7619-7010, No.5014748
ムーブメント自動巻き式 25石
表示時・分・秒の3針式,曜日,日付
ケースラウンド型 直径約37mm
年代1965年

セイコー

ジョイフル 2906-0090

 3針式,ステンレスケース,21石の自動巻き時計である。
 日付と曜日を表示するカレンダー機能がある。日付は竜頭で設定ができるが,曜日は針を進めていくしか変更する方法がない。午前0時を過ぎると日付と曜日が次に進むが,曜日はまず英語表記があらわれ,つづいて日本語表記があらわれるようになっている。自動巻き機構のため,レディースモデルとしては,かなりの厚みがある。

SEIKO Joyful 2906-0090, No.607091
ムーブメント自動巻き式 21石
表示時・分・秒の3針式,曜日,日付
ケースラウンド型 直径約25mm
年代1976年

リコー (RICOH)

 1938年に設立された「高野精密工業」は腕時計の生産をおこなっていたが,1959年の伊勢湾台風で工場が大きな被害を受け,リコーの支援を受けるようになった。その後,1962年に「リコー時計株式会社」が誕生し,現在は「リコーエレメックス株式会社」として,腕時計の供給を続けている。1971年には「リクォーツ」の名前で,セイコーに次いでシチズンよりはやくクォーツ時計を発売するが,その価格はセイコーの製品にくらべてはるかに安価なものであった。高性能な商品を低価格で供給するのは,カメラであれ時計であれ,リコーの基本的なスタイルということだろうか。

リコー

オートマチック (M-251)

 ゴールドカラーの3針式,22石,自動巻き,カレンダー機能内蔵のレディスサイズの時計である。時刻合わせはリューズを1段引き出した状態でおこなう。リューズをさらに引き出すと,日付を1日進めることができる。

RICOH Automatic (M-251-431-05), No.251201
ムーブメント自動巻き式 22石
表示時・分・秒の3針式,日付
ケースラウンド型 直径約25mm
年代1970年代?